調節麻痺剤
こんにちは、視能訓練士の藤原です。
今回は「調節麻痺剤」という点眼薬についてお話しさせて頂きます。
以前、弱視についてお話しさせて頂いた時に少しだけ触れていますが、どういう時に用いるかと言うと、3歳~12歳ぐらいまでのお子様を対象に、遠視が疑われる場合、仮性近視が疑われる場合、過矯正が疑われる眼鏡が処方されている場合などです。
遠視とは眼軸が短いため、網膜にピントが合わない目の事を言います。
下記図(1)は遠視で網膜にピントが合っていません。(2)は水晶体(水色のレンズ)を膨らませて、遠視をカバーして網膜にピントが合っています。
遠視があると、無意識にピント調節をして物を見ようとします。
強い遠視で有る程、過剰にピント調節をして物を見ようとします。
小さいお子様はピント調節の力が強いので、遠視が有っても容易に視力が出る場合があります。度数のデータにおいても遠視はないという結果が出る事もあります。
仮性近視とは、本来は近視がないのに、過剰にピントを合わせて物を見ようしてしまうために起こる一過性の近視の事をいいます。ピント調節の力が強く、上手でない小さいお子様に起こりやすいと言われています。度数のデータにおいても本来は近視がないのに、過剰にピント調節をしてしまう事によって近視があるという結果が出る事もあります。
近視などを必要以上の度数で矯正をしてしまう事を過矯正と言います。よくあるのが、前述の仮性近視の状態で眼鏡の度数合わせを行ってしまい、作製したけど、実際はそれほど度数が必要なかったという場合です。
このように、ピントの調節力が介入してくると正確な度数が分からないという事になります。
では、どうするかというと「調節麻痺剤」という点眼液を使って、調節力を取り除いて検査を行います。
調節麻痺剤を使う事で、強制的に調節力を無くす事で、正確な本来の遠視や近視の程度や有無を測定する事が出来ます。
調節麻痺剤はさすと、瞳孔(黒目)が開いた状態になります。全く見えなくなるという訳ではないのですが、遠くの方は白っぽく見え、眩しい状態になります。また近くの方は、ピントが合わなくなります。効果は1~2日程度持続されます。なので、金曜日、土曜日など週末の受診をお勧めしております。
また、当院においては斜視の検査にも力を入れており、3~12歳までのお子様には、すべて斜視検査も行なっております。お子様が安心して受診できる環境作りに努めています。
冒頭のイラストに「子供の目の異常の発見ポイント」を載せてみましたのでぜひ参考にしてみて下さい。
眼の事でお困りの事があれば、川原眼科久山クリニックにご相談下さいませ。
糟屋郡久山町を中心に、篠栗町、新宮町、須恵町、宇美町、福岡市東区青葉、みどりが丘、香椎台、名子、蒲田、古賀市、福津市などからも多数ご来院頂いております。